【10月の法話】 「先祖と先祖仏」 10月1日号
常真寺 住職 【緑蔭禅の集い 主幹】 皆川 廣義
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わが国では、昔から亡くなった先祖をあつく崇拝してきました。
仏教では、このすばらしい伝統をふまえて亡くなられた方を仏さまとし、先祖仏としてあつく信仰しています。
仏教は先祖崇拝ではなく、先祖仏信仰であります。先祖崇拝は、仏教以外の宗教のものです。仏教者として先祖崇拝と先祖仏信仰の違いを正しく理解して、正しい先祖仏信仰をしてゆきましょう。
仏教は、お釈迦さまの開かれた宗教で、人は何のために生まれ、生き、死してゆくのかという人生の目的を悟り、生死の苦悩を解脱して安心と生きがいをつくり出す道であります。お釈迦さまは、この人間のもっている二つの課題を解脱するために沙門の道を求道し、六年の修行の後に菩提樹下での悟りにより、解決されました。
菩提樹下の悟りは、自分は生物であり、生命なる存在であるという自覚です。自分の生命は、この地球上に生まれてより自分まで生き続け、そして未来の子孫へ生き続けようとしている過去・現在・未来への流れをもつ三世の生命であります。また、生命は生物を生命の乗物としており、全生物は生命によってつくられた同根であり、同事なるものであります。つまり、空間的に生命は人間だけでなく全生物をつくり出している十方なる生命でもあります。お釈迦さまは、自分が三世十方の生命なることを悟り、この三世十方に生命のありようの中に、課題であった人生の目的と生死の苦悩からの解脱を発見されたのです。
人間は、心の中に無明があり、この生命なる存在を自覚できないのであります。また、この無明が自分中心の煩悩をつくり出し、苦悩の原因となっています。人間は、無明と煩悩を完全に滅尽しても生きてゆけません。しかし、これを野放図にすると迷い苦悩することになります。お釈迦さまは、生きているときは適度に無明と煩悩を滅して、悟りと安心をつくりなさいと説き示されています。また、すべての人は自ら死んで生きる場を子孫にゆずっていきます。人間は、ゆずり葉のように三世代そろった家で生命の伝承をし、曾孫が生まれる頃に祖父母は、生きる場をゆずるために死んでゆくのです。このことは、すべての人間の生命の法則で、破ることはできません。
お釈迦さまは、この生命の法則をふまえて、どんな人でも最後は自ら死して無明と煩悩を完全に滅尽し、生きる場を子孫へゆずっていると教えています。生きているときの悟りと安心は一時的なものですが、亡くなったときは、すべての無明と煩悩が無くなっており、完全な悟りと安心になるのです。
お釈迦さまは、このような教えに基づき、仏教者はすべて死によって完全なる涅槃をつくり、完全な仏となると説き示されているのです。
このお釈迦さまの教えに基づき、仏教者がなくなると葬儀をし、住職がお釈迦さまに代わって仏さまの名前(仏名)をつけ、仏さまとするのです。この仏さまが、先祖仏であります。
仏教以外の宗教で亡くなった先祖は、悟りと安心を得ておりません。仏教では、必ず教えに基づき葬儀をし、仏名をいただき、完全な仏さまとなり、先祖仏となるのです。
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(駒澤大学名誉教授)
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